品川で子育てしているSEのゆるゆる芋づる式日記

5歳3歳ボーイズを育てながら、中古マンションを新築そっくりさんでリノベーションしました!一応東大卒なフルタイムワーキングマザーの日常ブログです。

上野千鶴子さんの東大入学式での祝辞を読んで感じたこと

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こんにちは。

本日0時過ぎに無事シンガポール旅行から帰国しました。

怒涛のシンガポール旅行記を、いざ・・・!の前に、旅行中に読んだ東大入学式の祝辞に触れずにはおられず、思ったまま感じた事を書いてみたいと思います。

はじめに

かなりざっくりですが、前提としてバックボーン的な事を書きますと。

私は90年代後半に東京大学文科一類に入学し、法学部に進み、21世紀の初頭に卒業・民間企業に就職して現在に至ります。

3歳1歳の男の子の母でもあります。

上野千鶴子さんのお名前は知っていましたが、著作を読んだことはなくこれまでの発言もあまり知らず・・・でした(浅学ですみません)。

ちなみにSNSでフォローしていたり著書を読んだり読もうとしていたりするのは中野円佳さん、白河桃子さん、金野美奈子さん、研究者ではないですが小室淑恵さん、といった方々です。

祝辞を読んで感じたこと

www.u-tokyo.ac.jp
感じた、と言いますか。
涙が出てきました。今、この記事を書くにあたり再読して再び涙。

以下、特に反応してしまった箇所を引用しつつ感じたことをコメントしたいと思いますが、一部だけ引用だと印象が変わってしまうと思いますので、できれば是非全文を読んでいただければと思います。

「女子学生の置かれている現実」

少々長くなりましたので、便宜的にパートを分けました。

2016年度の学校基本調査によれば4年制大学進学率は男子55.6%、女子48.2%と7ポイントもの差があります。この差は成績の差ではありません。「息子は大学まで、娘は短大まで」でよいと考える親の性差別の結果です。

※斜字・太字は私によるものです。以下同。

私の母も東大に通っていましたが、入る時に母の母に「お嫁にいけない」と泣かれたそうです。

私の両親は「女の子だから勉強しなくてよい」という発想は全く無かったです。なので、私自身そういった発想を思い浮かべる事もなく、当たり前のように好きなだけ塾に行かせてもらい、浪人させてもらい、東大に行かせてもらいました。

祖母のように「嫁にいけない」みたいな発想は大昔のものだと思っていました。

ただ、就職してから世の中には「女の子だからそんなに勉強頑張らなくていい」と思っている人が今も結構いる事がだんだん分かってきて、違和感がありました。

そうやって東大に頑張って進学した男女学生を待っているのは、どんな環境でしょうか。他大学との合コン(合同コンパ)で東大の男子学生はもてます。東大の女子学生からはこんな話を聞きました。「キミ、どこの大学?」と訊かれたら、「東京、の、大学...」と答えるのだそうです。なぜかといえば「東大」といえば、退かれるから、だそうです。なぜ男子学生は東大生であることに誇りが持てるのに、女子学生は答えに躊躇するのでしょうか。なぜなら、男性の価値と成績のよさは一致しているのに、女性の価値と成績のよさとのあいだには、ねじれがあるからです。女子は子どものときから「かわいい」ことを期待されます。ところで「かわいい」とはどんな価値でしょうか?愛される、選ばれる、守ってもらえる価値には、相手を絶対におびやかさないという保証が含まれています。だから女子は、自分が成績がいいことや、東大生であることを隠そうとするのです。

実は、私2年程前にこんな記事を書いていまして。

(ブログより)

東大男子の婚活は?

知らん、勝手に頑張れ。

男は学歴ベクトルや収入とモテが比例するんだからいいじゃないか、頑張った結果ハードル高くなってる女子のしんどさが分かってたまるか

(女子学生は)他のクラスタ行くと敬遠されてしまう

学歴に関して男性が 自分≧≒相手 を求めたら、そうなっちゃうんだろうな。女性も 自分≦≒相手 を求めがちなのかも。書いててなんだかげんなりですが、実体験としてこういう傾向あるよな、と残念ながら思います。

これを書いていた時思っていたのがまさにその「ねじれ」が本当に辛かった!という事だったのです。

必死で頑張ってきた結果、極論すれば「否定される」ないし「バカにされる」。これは普通に辛い事です。

最近はびこってる「自己責任論」的には「それも分かって入ったんでしょ」て事になるのかな。

そもそも間違っている状況を「是」としてそれを当然の「前提」のように捉え、異を唱えると叩くのは思考停止過ぎると思う。
めちゃくちゃ手前味噌というか強引な言い方になりますが、ネットの世界の片隅で自分がぼやいていた思いを、東大の祝辞で述べてくれた。ある意味マイノリティーの抱えていた思いに「世間」が気づいてくれた、かもしれない。

そんな「感動」のようなものがありました。

(東大工学部と大学院の男子学生5人による事件)

(プレビューで、この単語に反応したのかひどいマンガが挟まれてきたのでブロックしつつ直接の引用は避けました。)

この祝辞が炎上しているらしいのはもしかしたらこのあたりでしょうか(怖いので、ヤフコメ等は見ていません)。

言っていいと思います。

もちろん、大多数の新入生もその親御さんも倫理観の備わった人間であろうと思います。

でも、もしかしたら100人か1000人に一人は「勘違い」した人間がいるかも知れない。そんな「卵」達が道を外さないようなきっかけになるのではないかと。

大事なのはもう絶対に被害者を出さない事なので。

私の子ども達も男の子で、きちんと教育していかなければと思います。

東大には今でも東大女子が実質的に入れず、他大学の女子のみに参加を認める男子サークルがあると聞きました。

「インカレサークル」というやつ、私が入学した頃そういうものがあると知ってなんだかムッとした覚えがあります。締め出される側なんだー、ふーん、っていう。(セレクション落ちたら男子も入れないけど、そちらは一応「テニスの実力」に基づいてる。)

私が入学した当時、硬式テニスのサークルだと女子が入れるのは「トマト」「グリーン」「スポ愛」だけだったような。

もちろん、そこから出会いも沢山あった事だと思いますし、入っている男子学生も大多数が悪気なく、セレクション落ちちゃったからとかもあるかもしれません。

でも、とにかくいい気はしなかったです。

「変化と多様性に拓かれた大学」

あなたたちはがんばれば報われる、と思ってここまで来たはずです。ですが、冒頭で不正入試に触れたとおり、がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています。そしてがんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。あなたたちが今日「がんばったら報われる」と思えるのは、これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです。世の中には、がんばっても報われないひと、がんばろうにもがんばれないひと、がんばりすぎて心と体をこわしたひと...たちがいます。がんばる前から、「しょせんおまえなんか」「どうせわたしなんて」とがんばる意欲をくじかれるひとたちもいます。

あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください。そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください。

ここもまた本当に感動しました。

また、僭越ながら恵まれた環境にいた自分自身に向けられた言葉のようにも感じています。

私も大学生になるとき、自分が頑張ったんだと思っていました。

確かに頑張ってなくはないけど、もし、我が家が「女の子は勉強しなくていい」という家庭だったら?

経済的に恵まれておらず、塾や予備校に行けていなかったら?(そこを覆す程のガッツや能力は私にはなかった。)

それ以前に親に虐待されていたら?

いろんな分岐のラッキーな方向に、たまたま運よく行けていたというのをつくづく感じています。

今、会社員を続けていられているのもそう。制度や風土が恵まれている会社、家事・育児を「普通に」する夫、今のところ家族も自分も健康。それらは私の努力も全くゼロではないけど殆どが「たまたま」です。

新卒で会社入る時に「福利厚生」とか全然気にしてなかったな・・・大事だよ。

最後の段落、自己責任とかマウンティングとかがはびこるこんな世の中で、持っていたい、いて欲しい意識だと思います。

思うに、東大生が必ずしも全てにおいて「恵まれた」訳ではなく実はとても脆い部分もあって、意外に?自己肯定感低めだったり。

そして不安定な精神状態の中で自分をあげる為に必死で他人より優位に立とうとする・・・みたいな行動があるのではないかと。(若者はたいがい、ちと不安定な気もしますが。)

欲を言えばそれほど恵まれていなくても利他的であれる子ども達を社会で育てていきたいけれど、「大人」がそうでなければ子どももそうはならないですね。。

おわりに

まとまりなくあれこれ感じた事を書き連ねてみましたが、書いてて思い出したのは私が入学した時の蓮實重彦さんの祝辞が40分以上あっていきなり「唐突に終わるのであります」で終わってたなぁ、という事。

ネットで検索しても出てこず、この、ほんの短い(ん?)間に世界はどんどん変わっているんだなと改めて感じました。

新入生の皆さんは是非素晴らしい環境を存分に利用して、失敗や挫折を繰り返しながら成長して、人生を楽しんで欲しいです。

そして私も頑張りたいと思います。

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入学式の写真は見つけられなかったので前に載せた卒業式の写真